今後の津波対策のありかた

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津波の正体

2011年3月11日、日本の太平洋沿岸の青森以南500kmの津津浦浦は、大津波に襲われた。 家々は水に浮き、津波の中でかき回され、木くずにされた。 今回の津波はあまりにも衝撃的で、私は頭をぶんなぐられた気がした。 それと同時に津波の恐ろしい正体を知った。 津波は、はじめ、道路にチョロチョロと水がしみだしてくるようにして始まる。 水の厚さが数センチになっても、よもやこれが恐ろしい津波だとは想像もできない。 しかし、膝の高さになり、みるみる腰の高さになると、まず自動車が浮いて流れ始める。 この段階で津波が退いてくれれば、通常の台風の浸水被害とそう変わりはない。 しかし、津波はここから次第にモンスターの正体を顕す。 水位が人の背の高さ位になると、家が浮き、流れはじめる。 ほどなく、水位が軒下近くなると、津波は残りの家も力づくで持ち上げ、 水面に浮かべてしまう。 そして津波はごうごうと渦をまき、そこらを踊りまわる。 ついには、5階建てのビルの屋上も水没しそうになって、見渡す限りが海となる。 ようやく津波が引き始めると、水に浮かんだ家々は、海岸の方に引き流され、 ことごとく材木と化し、平地のあちこちに引っ掛かって廃材の粗朶となる。 もし、津波が襲った場所が人家の密集地帯であれば、廃材の層は厚く、平坦地を埋め尽くす。

これまでの反省

私は、水理模型実験やアニメーションで津波を見るには見たが、所詮、それは模型や空想の世界でしかなく、現実の姿ではなかった。「インドネシアのアチェでの津波」は事実であっても、第一にアチェの津波は超巨大で、日本にあてはまらない、そう思った。それに、「わが国には、津波対策がある」という認識もあった。 三陸では、日本で最も進んだ津波対策が実施されていた。釜石、大船渡などには湾口防波堤が建設され、完成していたのだ。我々は、そのことを誇りに思っていた。しかし、現実には津波は「津波防波堤」を軽々と乗り越えて、町を襲った。大船渡は、はじめから最後までテレビで津波の被害状況が放映された。一方、釜石の場合、はじめはテレビで被害状況があまり映らなかった。しかし、あとからテレビに映ったところによると、津波は確かに釜石を襲っていた。津波防波堤は、多分、一定の効果を発揮したであろう。しかし、完膚無きまでに、町はやられた。私は、悔しい気持ちでいっぱいだ。 猛烈な反省点として、災害防御の基本認識が甘かったのだと思う。災害は起こる可能性が1%でもあれば起こるのだ。確率が低いというのは何のエクスキューズにもならない。 それと、過去に5mの津波があれば、それが極大と思ってはいけない。それは、平均値と思うべきなのだ。既往最大だからと云って、それが極大だと決めつける科学的根拠は何もない。地球にとって、海底が5m隆起しようが、10m隆起しようが、所詮それらは、誤差の範囲にすぎない。 一般に、公共投資においては、経済設計をしようと考える。しかし、こと防災に関する限り、「経済設計」をするということは、ケチな対策しかできていないという意味しかないのだ。それなのに、われわれは、「十分な対策が出来た」と勘違いしてしまう。 自然は自分のやりたいことをやるのだ。「まさか、ここまでは」ということを平気でやってしまう。

対策の基本

人命と財産を津波から守ることを対策の基本にしなければならない。 人命と財産を守るために、今までの津波対策をもっとグレードの高いものにしなければならない。

堤防の高さ

津波では越波は命取りだ。たとえ5cmなりとも、越波を許してはならない。一旦津波が堤防を越えたら、更に次々と、とめどもなく津波が侵入してくる。だから、津波堤防の設計の思想は、「越波を絶対に許さない」でなければならない。これは、風波に備える防波堤と全く異なる重要なコンセプトだ。 くどいようだが、既往の津波が10mだとすれば、それは、平均値と見なし、津波防波堤の天端は2倍の20mとしなければならない。「末の松山なみ越さじ」の堤防を建設できなければ「津波よけ」は意味のないものとなる。

堤防の開口部から侵入する波を防ぐ?

港を利用する船舶の航路を閉じてしまうことは出来ないし、河川の海への出口を閉じてしまうこともできない、つまり、防波堤の開口部は避けられないので、その開口部からの津波の侵入を防止する方法が必要となる。 それには、地形が許せば、海底を掘削して、Vチャンネルにするとか、全反射にして、津波が入ってこないようにすることが考えられる。
この方法は、原理的には確かに効く。
しかし、地震・津波によって海底地形が変わってしまう危険もある。また、波が進路を変えても、開口部のすぐ近くで波をせき止めると、開口部周辺の水位上昇は避けられず、それによって、開口部から水が流入するであろうことが推定される。 開口部が避けえない場合、現時点では残念ながら、これで万全という方法はない。 よって、防波堤だけに頼らず、同時に、町や市をとり囲む「輪中」のような堤防を陸地に築くことをお勧めする。 どうしても堤防で囲めない場合には、高層ビルを建てて、5階以上を居住区にすることも考えるべきだ。

資金計画

今回の東北・太平洋岸の大津波の復興には、大きな復興資金が必要です。 人口200万人が復興のために一人あたり、2,000万円程度必要とした場合、 全体では合計すると40兆円かかります。公共設備もほぼ同様の復興資金がいるので、 80兆円は必要でしょう。 これは、一年分の国家予算に匹敵する、大きな額なので、 通常の会計のやりくりでは賄えません。 よって、復興のための債権を発行して、資金を集めなければなりません。 幸い、日本国内の金利は安いので、1.5%程度の金利をつけ、 利子に課税しない債権を発行すれば、復興資金は、集まるでしょう。 ただし、外国からお金を借りてはいけません。 今は円高です、円安になると、地獄の苦しみとなります。あくまで、 日本の同胞からお金を融通してもらうことが肝心です。 上記80兆円は5年程度に亘り必要となるので、1年あたり、 20兆円程度募集することとなります。

環境法に対する特別立法

復興には大規模な土とりや埋め立てが必要です。そのことについて、 アセスメントなどをやっていては、緊急な復興ができません。 知事裁量で、許可の公示のみで工事が許可されなくてはなりません。 同様に、保安林などの開発規制、農地の転用規制などは停止して、 土とり跡地は緑化することを義務付け、知事裁量で、土とり、石とり、 埋め立てを専決許可できなければなりません。

災害時の電力確保

電力は、津波災害の時こそ必要です。 スタンバイ電力は、容量も小さく、地震時すぐに燃料が底をつく。 ときどき発電機が故障して使えない事態も起きる。よって、電力線路を強化し、 地震や津波でやられないようにしなければならない。 海岸近くを通る送電鉄塔は、津波にやられないよう、下部は丈夫なコンクリート製とし、 地上15メートルまで立ち上げる。鉄塔は、その上に立てる。 変圧器は、電柱に載せない。特に、海岸近くの場所に設置する場合には、 地上20m以上の建物の上に設置する。 高圧線から、県庁、市役所までの電力線路は地下化して、津波や地震でも大丈夫にする。 通信手段の確保も、津波災害の時こそ真に必要です。 県庁、市役所には、津波を受けても通信可能な無線電話を設置する。 そのためには、携帯電話の電波塔も災害電話の電波塔も県庁や市役所ビル屋上に設置する。 電力線が地中化され、地震と津波を受けても停電しないようにする。 同時に変圧器のビル屋上への設置も必須です。

道路の確保

道路が水や廃材に埋もれていては迅速な救援活動はできません。 ですから、体育館―町役場―市役所―県庁―(高速道路)を結ぶ道路は 高架または高盛土として、水につからないようにしましょう。 高盛土の道路の天端は、最低でも平均水面上+15mとしましょう。 高盛土が地震にやられないためには、直立テールアルメ、 または、斜面テールアルメを用いる。 もし、路面に廃材が積もっても、高架道路や隆盛土なら、 容易に横に掃き落とせる。 だから、救助が速やかに始められる。 ただし、道路敷地は十分な広さを確保しましょう。 光ケーブル、電力線、水道管などは、この道路の下に設置する。

水の確保

非常用の水は是非とも用意するべきである。県庁、市役所、 体育館の地下に水タンクを埋設し、日ごろから水をためておく。

スタンバイ・ジェネレーター

大災害のときだけに役立つような発電機を作るのは無駄なので、 日ごろから使える発電機を設置しておき、災害時に使用する。 例えば、県営、私営のゴミ処理発電、風車、太陽光発電などを県庁、 市役所そばに常備しておく。 と同時に、地震・津波の災害時に壊れないよう免震対策、 水浸対策を講じておく。

終わりに

今後、東海、東南海、南海でも大地震と大津波が襲ってきます。

無策はいけません。 政治は、国民の生命と財産を守るためにこそ、力を注ぐべきです。 (Dr. Osamu Kunita 2011_03_14 )

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